クリニック通信
クリニック通信7・8月号にて「帯状疱疹の治療と予防について」掲載しています。ぜひご覧ください。
1.帯状疱疹の治療で大切なこと
帯状疱疹の原因のウイルスが体内で増殖するに伴い、抗体も作られますが、抗体がウイルスを鎮圧するまでに約1週間かかります。この間にウイルスによって神経線維が大きなダメージを受けると、皮膚症状が治まっても長期に痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」に移行する恐れがあります。よって、できるだけ早期にウイルスの増殖を防ぐことが重要となります。帯状疱疹の痛みは、神経の炎症が治まるにつれて、少しずつ軽減されていきますが、適切な治療を受けずにいると、神経細胞が元の状態に戻らないで、痛みの電気信号を送り続けてしまいます。こうなると治癒させるのが困難になったり、痛みが長期になったりするので、
そうならないように早めから対処することが肝心です。
2.当院の帯状疱疹の治療の特徴
帯状疱疹の痛みは軽度のものから眠れないようなものまでさまざまです。まずはその痛みの種類・程度をきちんと把握することが重要です。皮膚の損傷がひどい場合は「皮膚の治療」が必要です。痛みが強い場合、内服薬を使ってウイルスの増殖や疼痛を緩和させながら、神経ブロック注射を並行する「痛みの治療」も検討する必要があります。このように痛みの種類・程度に応じて最適な方法を提案します。帯状疱疹の痛みに対する治療方法として、次の「攻めの治療」と「守りの治療」というものがあると考えています。
攻めの治療⇒早期から神経の痛みを抑える内服薬と神経ブロック注射を用い、症状が改善してきたら徐々に内服薬の種類・量を変化させるというものです。これにより早期から痛みを大幅に下げることが可能となりますが、注射が苦手な患者様には心理的抵抗が生まれることがあります。
守りの治療⇒内服薬を用いて緩やかに治療を始める方法。神経ブロック注射を行わないと大幅な改善が見込めないような場合でも、患者様の中には「注射は怖い」という方もおらます。守りの治療の場合、患者様の心理的な抵抗は少ないですが、結果的に「ある程度まで痛みが改善した時点でそのまま止まってしまう」ということが起こりやすいです。治療する側からすれば、早期にどれだけ痛みを下げられるかがポイントなので、「攻めの治療」がベターに思われますが、どのような治療方針を取るかは患者様の考えや
希望などに沿って、患者様とよくコミュニケーション
をとった上で最善の治療方法を決めていきます。
どんな治療方法を選択するか、又、お薬の効果と副作用のバランスをいかにコントロールするかは、とても大切で、
この「さじ加減」こそが専門的な知識・技術が
求められる部分で、帯状疱疹の痛みを専門的
に治療する当院の最も得意とするところです。
3.帯状疱疹の予防
帯状疱疹の予防として、当院では50歳以上の方を対象に帯状疱疹(水痘)ワクチン接種することが可能です。帯状疱疹はワクチンで予防できる病気です!ぜひお声かけ下さい。