クリニック通信
クリニック通信5・6月号にて「帯状疱疹について」掲載しています。ぜひご覧ください。
1.帯状疱疹とは?
帯状疱疹とは、水疱瘡のウイルスが原因で発症する疾患です。主に子供の頃に感染した水疱瘡ウイルスが脊髄近くの神経の中に潜伏していて、普段は免疫力により活動を抑制されているのが、加齢・ストレス・疲労等により免疫力が低下してしまうと、ウイルスが活動を再開します。増殖し始めたウイルスは、神経の流れに沿って皮膚まで移動して、皮膚症状や痛みを起こします。日本の成人約9割が帯状疱疹の原因の水疱瘡ウイルスを持っていると言われ、帯状疱疹はどなたでもかかる可能性のある疾患であると言えます。
2帯状疱疹の症状は?
帯状疱疹の症状には様々なパターンがあり、皮膚症状(発疹等)が先行する場合もあれば、神経痛が先行する場合もあります(通常体の左右どちらか一方に現れ、好発部位は上腕・胸・背中など)。発疹と痛みが同時に出た場合は診断は比較的容易ですが、「痛みが先行した場合、それが帯状疱疹によるものか」を見極めたり、「早期の皮膚症状が帯状疱疹によるものか」を診断するのは大変難しいです。この場合、役立つのが「オノマトペ」で、当院では擬声音(下記)を用いて適切な診断に繋げるようにしています。
①帯状疱疹の痛み⇒ピリピリ・ズキズキ・チクチク、電気が走るような・針で刺したような・焼けるような痛みなど。
②帯状疱疹の皮膚症状⇒水ぶくれ、
赤い発疹、ただれ、かさぶた、瘢痕など。
3帯状疱疹の後遺症は?
帯状疱疹の痛みは、皮膚症状が治るにつれ、1ヶ月以内に自然治癒すると言われますが、約3割の方はその後も痛みが続く場合があり、これを「帯状疱疹後神経痛」と言います。帯状疱疹後神経痛は、ウイルスが皮膚までの通り道となる神経線維を傷つけることで起こると考えられ、これを防ぐためには、できるだけ早期に帯状疱疹の痛みの治療を開始することが重要です。ウイルスの増殖を抑える帯状疱疹痛の治療の開始が遅れたり、適切な治療を受けずにいると、帯状疱疹後神経痛に移行するだけでなく、全身症状が後遺症として残る場合(頭痛、発熱、視力の低下、難聴、腕が上がらない、麻痺、排尿障害など)もあり、できるだけ早期に帯状疱疹の痛みの治療開始が必要です。
★帯状疱疹のメカニズム
1.水疱瘡(みずぼうそう)を発症
主に子供の頃に水疱瘡ウイルスに感染し、水疱瘡を発症
2.ウイルスが潜伏
水疱瘡が治った後もウイルスは神経節に潜伏し続けます
3.免疫力が低下
免疫力低下(加齢・ストレス・疲労等)でウイルスが活動再開
4.帯状疱疹を発症
増殖ウイルスが神経を通り皮膚へ移動して帯状疱疹発症
5.帯状疱疹後神経痛
ウイルスが通り道である神経線維を傷つけ長期痛みが続く